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肌色

現在では以前は必ずクレパスなどに入っていた「はだいろ」と言う名前のものは見当たらない。

代わって「うすだいだい」や「ペールオレンジ」の名前であの「はだいろ」が入っている。

これは10年位前より差別に対する問題意識から、人種・個人差等によって肌の色は異なるのに特定の色を肌色と規定する事はおかしい、としてこの名称を避ける動きがあり、各画材、文具メーカーが名称変更に動いたためである。

また、美術教育上の観点からも特定の色を肌の色とするような固定概念を与えるような名称は好ましくないと言う理由もあるようだが、根底には差別意識の問題が大きいようだ。

確かに、人と言えば実際とは掛け離れた肌色を安易に使ってしまうことは表現上は望ましくはないかも知れない。

しかし、「はだ色」というのは、日本人が何千年もかけて理想の肌の色として育ててきた概念でもある。

絵に迷わず「はだいろ」を使ってる子供に

「ほら、でも実際の肌の色はこの色とは違うよね。こうやってオレンジと白混ぜて、それに緑を混ぜてくすませていくと、どう?こっちのほいが近くない?」

とやって見せると、たいていマジックでも見たように驚く。オレンジと白を混ぜることには納得する子供も、それに緑を混ぜることはとても不思議なことのようだ。

ただこう言うことが色の理解や発想にもつながってくる訳で、個人的には「はだいろ」の存在はちゃんと説明すればひとつの基準、そして文化の一面としてあってもいいのではないかと思う。

「はだいろ」と同じような表現は外国にもあり、同じく問題になったりしたようだが、「はだいろ」は前述したような概念的な側面もある。

黄色人種である日本人が理想とした肉色を基準とする概念があって、白人、黒人と言う概念が出てくる訳で、それが人種差別に繋がると言う考えはあまり納得できない。

過剰な差別意識が日本文化独自の色の名前が消し去り、記号的な「ペールオレンジ」などと言う味気ない言葉になってしまったのは残念なことにも感じる。

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